住宅ローン滞納したらどうなる?対処法や返済方法、住み続けることは可能か解説

不動産

住宅ローンを借り入れた後、予期せぬ状況で収入が不安定になり、支払いが困難になることがあります。

ここでは、何らかの事情で「住宅ローンの返済額が収入の20%以上になっている」という方や、「返済が辛く感じられる」という方に向けて、対処法を詳しくご案内いたします。

住宅ローンが支払えない人の割合

「住宅ローン破綻」とは、住宅ローンの返済が困難で、家計に影響を及ぼし始める状況を指します。

これは珍しいトラブルではなく、実際に日本では多くの人が直面しています。

住宅金融支援機構によると、2021年度の調査では、リスク管理の対象となっている債権の割合は3.17%であり、つまり100人のうち約3人が返済に遅延が出ている状況です。

ですから、自分自身がこのようなトラブルに見舞われた場合には、他人事ではなく真剣に取り組む必要があります。

まず、住宅ローンが払えなくなる原因を考えてみましょう。

主な原因としては、収入の減少、仕事の喪失、借金の増加、経済状況の悪化などが挙げられます。

これに加えて、生活費や他の債務の支払いに追われ、住宅ローンの返済が難しくなるケースもあります。

対処法は一人ひとりの状況によって異なりますが、いくつかのポイントを挙げておきます。

住宅ローンが払えなくなる原因

住宅ローンが払えなくなる主な要因は以下の3つです。

返済計画に無理がある

住宅ローンの負担率は、手に入るお金の中で約20%以下を目指すのが理想的とされています。

手に入るお金で計算する理由は、住宅ローンの返済は通常30年から35年と長い期間にわたって行うため、無理なく返済するためには重要です。

給与から引かれる税金を考慮しない額面収入で計算すると、実際の返済計画を立てる際に困難が生じる可能性があります。

また、働き方改革による残業時間の削減や、企業の業績によるボーナスカットなど、不確定要素が含まれる収入を負担率に反映させることも確実ではありません。

さらに、負担率が20%を超えている場合や、定年後も長期間にわたって返済をする計画を立てる場合、これまでの収入や支出に変化が生じた場合に返済が困難になる可能性があります。

そのため、返済負担率を20%程度に抑えたり、無理のない返済期間を設定したりするなど、ゆとりのある返済計画を立てることが重要です。

病気といった突然のアクシデントによる収入の減少

住宅ローンを返済できない理由はいくつかあります。

たとえば、予期せぬアクシデントや病気による入院、突然のリストラによる雇用喪失などが挙げられます。

これらの出来事によって収入が減少し、返済計画が崩れてしまう可能性があるため、事前に保険に加入するなどの準備をしておくことが重要です。

保険への加入は、経済的な安心につながります。

例えば、病気や入院などで収入が途絶えた場合、返済に困ることは避けられません。

しかし、保険に加入していると、このような状況に備えてお金を準備することができます。

また、突然のリストラなどで職を失ってしまった場合も、保険の給付金が支払われることによって返済への支援を受けることができます。

保険への加入は、将来の予測困難な出来事に備えるための重要な手段です。

住宅ローンを返済するためには、安定した収入が必要ですが、予期せぬ事態によって収入が減少する可能性があるため、保険による補償は非常に有用です。

保険料を支払うことで、返済に困った場合のリスクを軽減することができ、安心して住宅ローンを借りることができます。

予期せぬ支出の増加

住宅ローンを借り入れた際には、予想できない支出が重なることがあります。

これら予想外の支出は、返済が滞る原因になる可能性があります。

予期せぬ支出の例としては、以下のようなものがありますので、予め貯金などで備えをしておくことが重要です。

1.けがや怪我:事故やケガによって予期せず医療費が発生する可能性があります。

予想外の医療費に備えるためにも、十分な貯金が必要です。

2.入院:突然の入院が必要になった場合、入院費用や日常の生活費がかかることがあります。

これに備えるためにも、予め貯金をしておくことが重要です。

3.介護:家族や自身が介護が必要になる場合、予想外の費用が発生することがあります。

介護費用や必要なサービスの費用に備えるためにも、貯金が必要です。

4.家や車の修繕・修理:不慮の事故や自然災害などによって家屋や車に修繕が必要になることがあります。

予期せぬ修繕・修理費用に備えるためにも、貯金が必要です。

5.冠婚葬祭:結婚、出産、葬儀などの特別なイベントは予期せぬ出費が生じることがあります。

これらの出費に備えるためにも、貯金が必要です。

6.家電製品の故障・買い替え:家電製品が故障したり、新しい製品に買い替える必要が生じることがあります。

予期せぬ出費に備えるためにも、貯金が必要です。

7.市況の変化(住宅ローン金利の上昇):将来的に住宅ローンの金利が上昇する可能性があります。

返済額が増えることを予測し、それに備えるためにも貯金が必要です。

これらの予期できない支出に対して、事前に貯金といった備えをしておくことで、返済が滞ることを防ぐことができます。

十分な貯金をして、予想外の出費にもしっかりと対応できるようにしましょう。

住宅ローンを払えない場合どうなる?

住宅ローンの支払いができなくなったり遅延したりしてしまうと、以下の流れで最終的には競売にかけられ、住んでいる家を差し押さえられてしまいます。

[ 1 ]1~2か月の延滞が生じると、金融機関から「督促状」が届きます。

これはローンの延滞を催促する通知です。

金融機関は、ローンの返済を遅滞なく続けていただくよう要求しています。

[ 2 ]3か月以上延滞が続くと、金融機関から一括返済の請求が届きます。

これは、すべての未払い額を一度に返済するよう求められるものです。

金融機関は、ローンの全額を債務者に一括で返済してもらいたいと考えています。

[ 3 ]その後もローンの延滞が続くと、ついに「競売」と呼ばれる手続きが開始されます。

競売とは、債権者が債務者の不動産を売却して債務の弁済を行う手段です。

競売にかけられた不動産は、最終的に他の人によって落札され、この落札価格で債務が弁済されます。

このように、住宅ローンの支払いを滞らせ続けると最終的には競売に至る可能性があります。

競売によって家を差し押さえられることになるため、ローンの返済を遅延しないようにすることが重要です。

適切な返済計画や支援制度を活用して、ローンの返済を円滑に進めることが求められます。

1~2か月延滞すると「督促状」が届く

住宅ローンの返済が1~2か月滞ると、金融機関や金融公庫などから「期日までに未納金額と延滞損害金をお支払いください」という督促状が送られてきます。

もし支払いの見込みが立たない場合は、できるだけ早く金融機関や不動産会社に連絡しましょう。

なぜなら、住宅ローンの返済が一度でも遅れると、金利が急激に上昇する可能性があるからです。

通常、住宅ローンの金利は、金融機関の窓口で公表されている金利よりもお得になるように優待されていますが、返済が遅れるとその優待措置が受けられなくなる場合があります。

ローンの金利が急上昇すると、返済総額が大幅に変わってしまうため、注意が必要です。

ただし、この段階で適切に対処すれば、大きな影響を受けることは避けられるかもしれません。

もし支払いの遅れがミスなどによるものであれば、きちんとそのことを伝えれば、許容してもらえる可能性もあります。

3か月以上滞納すると一括返済の請求が届く

住宅ローンの支払い期限を守らない場合、支払いが3〜6か月遅れると、金融機関から「期限の利益の喪失」という要求が届きます。

期限の利益とは、住宅ローンを分割で返済することができるという利益のことであり、支払いが遅れるとこの利益がなくなってしまいます。

しかし、毎月の返済を滞らせていると、一括返済ができる可能性は低いため、ほとんどの場合、期限の利益は保証会社によって失われ、保証会社が一括返済を行い、その後、金融機関から保証会社へと債権が移ることになります。

したがって、その後は保証会社に対して住宅ローンの残りを支払う必要があります。

なお、債権者が保証会社に変わったとしても、一括で借入金額を要求されることが一般的です。

ただし、実際には支払えない状況であることがほとんどですので、保証会社によっては期間猶予や分割払いの相談に応じてもらえる場合もあります。

その後も延滞すると「競売」にかけられる

住宅ローンの支払い期限を過ぎてしまい、一括返済ができない場合、「催告書」という通知が送られます。

催告書には、未払い金額と新たな支払い期限が記載されており、もし支払いがされない場合は法的手続きが行われることが示されています。

もし支払いを期限内に行わなかった場合、自宅が競売にかけられる可能性があります。

競売とは、金融機関が債務者から約束された金額を取り戻すために裁判所に申し立てを行い、裁判所がそれを受理すると、債務者の家が公売にかけられることを意味します。

競売が行われると、家は差し押さえられ、債務者は立ち退かなければなりません。

さらに、競売で得られた売却益を使ってもローン残債が完全に返済できない場合、債務者は自己破産することになります。

自己破産とは、裁判所に破産申立書を提出し、債務免責を受けることで、ほぼすべての借金が免除される手続きです。

自己破産すると、返済の請求はなくなりますが、代わりに5年以上の間、新たなクレジットカードやローンを利用することができなくなったり、一部の財産を処分しなければならなくなったりという制約があります。

連帯保証人が存在する場合、連帯保証人にも返済の請求がされることになります。

連帯保証人は債務者と同じく住宅ローンの返済責任を負っているため、連帯保証人の資産も差し押さえの対象となり、最悪の場合は連帯保証人の家も競売にかけられる可能性があるため、注意が必要です。

このように、住宅ローンの返済が滞ると、連帯保証人にも悪影響が及ぶため、延滞が続く場合は、連帯保証人を含めた返済計画を早急に話し合うことが重要です。

住宅ローンの支払いが難しい場合の対処法

住宅ローンの支払いが遅れると、最悪の場合は自分の家が競売にかけられ、強制的に追い出される可能性があります。

このような事態を避けるためには、すみやかかつ適切な対処が必要です。

以下では、まだ住宅ローンの支払いが遅れていない場合の対処法をご紹介します。

将来の支払い状況に不安がある場合でも、まだ遅延は発生していないという状況なら、以下の対処法を考えてみましょう。

ローンの返済プランと家計を見直す

住宅ローンの支払いに困難が生じた場合、新たな方法を考えてみましょう。

まず、住宅ローンを提供している金融機関に相談してみることをおすすめします。

彼らと話し合い、一定期間の返済猶予や返済期間の延長といった柔軟なプランを見つけるかもしれません。

さらに、別の金融機関への借り換えも検討の余地があります。

低金利の金融機関に移行することで、月々の返済負担を軽減することができるかもしれません。

この問題を解決するために、同時に家計を見直すことも重要です。

無駄な出費があるかどうかを確認することは必要です。

省エネや節約の方法を考え、生活費を削減することで、経済状況を改善することができます。

ただし、このような重要な決定をする際には、専門家の助言を受けることも大切です。

ファイナンシャルプランナーや住宅ローンの専門家に相談し、最も適切な選択肢を見つけましょう。

それにより、財政状況を改善し、住宅ローンの返済に対する不安を軽減することができるはずです。

保険の保障範囲を確認する

住宅ローンを組む際に加入する団体信用生命保険には、病気に罹患した場合でも住宅ローンの残債が保障される場合があります。

ただし、保障される病気の種類や保障される金額は、契約内容によって異なります。

また、中には入院時に一時金が給付される保障内容を含んでいるプランもあります。

したがって、自分が契約しているプランの保障内容を確認してみることが重要です。

家を売却する

もし、以前の住宅ローンの返済計画について再評価できなかったり、再評価しても支払いが困難であった場合は、家を売却することを検討してみることは適切な選択肢です。

もし家の売却価格が残っているローン残高よりも低い場合、家を売却することで住宅ローンを完済することが可能です。

既に住宅ローンを延滞している場合の対処法

現時点で住宅ローンの支払いを遅延させており、返済に必要な資金がない場合、迅速に対処する必要があります。

住宅ローンの返済に対処するためには、以下の解決策を検討してみましょう。

任意売却する

任意売却というのは、住宅ローンを組んでいる金融機関の許可を得て、ローン残債がある家を売る方法のことです。

住宅ローンを利用して購入した不動産には、その不動産を担保にするための抵当権が債権者によって設定されています。

つまり、ローンを完済せずに抵当権を抹消することができないため、不動産を売却することはできません。

普通は、家を売って得たお金で住宅ローンを完済しますが、もしローン残債が売却代金を上回っている場合、家を売っても残債を全額返済できず、抵当権を解除することができません。

このような場合に、金融機関の同意を得て、住宅ローンを完済できない家の抵当権を解除することで、家を売却する方法が任意売却なのです。

競売とは異なり、任意売却では市場価格に近い値段で不動産を売却することができます。

さらに、売却代金の配分についても金融機関と相談することができるため、交渉次第では引っ越し費用などの資金を捻出することもできるかもしれません。

ただし、任意売却を行ってしまうと、信用情報に登録されるため、注意深く検討する必要があります。

リースバックで家を売却する

リースバックというのは、家を買い取り、その後もその家に住み続けるためにリースバック業者や不動産会社と契約を結ぶ方法です。

この方法では、住むために家賃をリースバック事業者に支払うことになります。

さらに、リースバックの場合には、後日家を買い戻すことも可能です。

ただし、リースバック方式で不動産を売却する場合には注意が必要です。

通常の仲介による売却と比べて、売却価格が低くなる可能性がある点に留意する必要があります。

シニア世代となり住宅ローンが厳しくなった場合の対処法

年金収入が減少し、住宅ローンの支払いが滞っている場合、月々の返済額を減らす方法として「リバースモーゲージ」というサービスを利用することができます。

リバースモーゲージは、自宅を担保にして老後の資金を借りるためのサービスで、主に55歳から80歳までのシニアに向けられています。

まず、住宅ローンが残っている場合には、リバースモーゲージに借り換えを行います。

借り換えによって、生活費の一部を融資してもらうか、一括で融資を受けることができます。

借り入れ期間中は、利子だけを毎月支払うことになりますので、返済負担が軽減されるでしょう。

契約者が亡くなると、契約は終了し、担保となっている家が売却され、借入金は一括で返済されます。

リバースモーゲージは、自宅を担保にして資金を借りるサービスですので、慎重な検討が必要です。

最終的な判断をする前に、不動産会社やファイナンシャルプランナーなどの専門家に相談することをおすすめします。

住宅ローンが払えない場合の注意点

住宅ローンの返済が難しくなってしまった場合、新たにお金を借りることは避けましょう。

なぜなら、キャッシングやカードローンを利用して住宅ローンを返済すると、高い金利で利息が膨らんでしまうからです。

これにより返済がますます困難になり、自己破産のリスクが高まる可能性があります。

また、将来的に住宅ローンの借り換えを考えている場合、キャッシングやカードローンの利用履歴があると、審査に通りにくくなってしまいますので注意が必要です。

さらに、住宅ローンの返済ができなくなったからといって夜逃げすることはお勧めしません。

夜逃げしても、競売が行われて借金は残ったままです。

夜逃げとは異なり、任意売却や自己破産などの選択肢を考えることで、残っている借金を減らしたり免責されたりすることができますので、そういった選択肢を検討してみましょう。

まとめ

「住宅ローンの支払いが遅れるかもしれない」と心配になった場合は、金融機関(銀行)に相談することが重要です。

なぜなら、住宅ローンの返済は、家計全体や将来の計画に大きな影響を与えるからです。

将来の生活を見越してお金の再検討をする場合には、ファイナンシャルプランナーに相談することもおすすめです。

ファイナンシャルプランナーは、住宅ローンの返済を含む家計全体の改善についてアドバイスをしてくれます。

また、住宅ローンの支払いに困っている場合には、前述のように自宅を売却することも選択肢の1つです。

まずは査定を受けて、売却代金で住宅ローンの残債を返済できるかどうか確認してみることをお勧めします。

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