長期優良住宅は、ずっと住み続けることができる安心で快適な家のことを指します。
長期間にわたって住むことができるだけでなく、税金の優遇措置なども受けることができるため、長期優良住宅になるという恩恵は非常に大きいと言えます。
しかし、認定されるための基準は法律で定められているので、具体的な内容を理解しておく必要があります。
今回は、長期優良住宅の認定基準や主なメリット、申請手続きの方法について詳しく説明していきましょう。
長期優良住宅とは?
長期優良住宅の基本的な仕組みについて解説します。
長期優良住宅の概要
2008年に制定された法律により、長期優良住宅の普及が促進されることになりました。
この法律は、以前の「建てては壊す」スクラップ&ビルドの社会から、「良いものを長く大切に使う」ストック活用の社会への転換を目指すために生まれました。
具体的には、国が主導して、長期間にわたって住むことができる住宅の条件を定め、認定がされると一定のメリットが与えられる仕組みが作られました。
つまり、国が定めた基準を満たす住宅を建てると、長期にわたって住まいとして使えるばかりでなく、その特典も享受できるのです。
長期優良住宅の特徴
長期優良住宅と認定されるためには、以下の4つの基準を全てクリアする必要があります。
まず、1つ目の基準は、住宅の構造や設備が長期間にわたって良好な状態で使用できるように、適切な対策が講じられていることです。
2つ目の基準では、住宅の面積が居住に必要な十分なスペースを有していることが求められます。
3つ目の基準では、住宅が地域の居住環境を保持し向上させることに配慮されていることが要件となります。
そして、4つ目の基準では、住宅の維持保全計画が適切であることが求められます。
これら4つの基準は、すべて住環境に大きく関与し、建築段階で意識しておかなければ実現することができません。
それゆえ、自治体に長期優良住宅として認定されるためには、すべての基準を満たす必要があります。
このため、家を建てる際には、早期に長期優良住宅の要件を押さえておくことが重要です。
対象となる9つの条件
長期優良住宅が評価されるためには、具体的には9つの条件を満たす必要があります。
以下では、対象となる条件について詳しく説明していきます。
まずは耐震性です。
非常にまれな地震でも損傷を軽減するために、適切な耐震対策が行われていることが求められます。
具体的には、耐震等級が2以上であるか、または免震建築物などの対策が取られていることが条件となります。
次に省エネルギー性です。
断熱性や気密性など、省エネルギー対策が適切に行われていることが要求されます。
特に省エネルギー対策等級が4以上であることが求められます。
また、劣化対策も重要な要素です。
数世代にわたって住み続けることができる構造であることが求められます。
バリアフリー性も考慮されます。
将来的なバリアフリー工事に対応できる構造やスペースが確保されていることが必要です。
また、可変性も条件の一つです。
居住者のライフスタイルに合わせて間取りなどを柔軟に変更できることが求められます。
さらに、住戸面積についても要求されます。
少なくとも75平米以上の面積が確保されており、少なくとも1つのフロアが40平米以上であることが条件とされています。
環境への配慮も重要です。
景観や環境の維持について、自治体の審査を受ける必要があります。
また、維持管理・更新の容易性も考慮されます。
建物の構造に与える影響を最小限に抑えつつ、メンテナンスが容易に行えることが要求されます。
維持保全計画や定期的な点検・修繕計画の立案も求められます。
上記の条件を満たすことによって、長期優良住宅の基準を達成することが明らかになります。
この制度は、単に快適な住まいや環境への配慮だけでなく、ライフスタイルの変化に柔軟に対応することも重視されています。
長期間にわたって使い続けるためには、高品質で耐久性のある住宅である必要があるため、このような仕組みが採用されているのです。
長期優良住宅に認定されるメリット
長期優良住宅認定を受けると、経済的にさまざまな利点があります。
以下では、「税制の優遇措置」「住宅ローン」「補助金」の3つの点について、詳しく解説します。
税制上の優遇措置
長期優良住宅とは、高い品質基準を満たす住宅のことです。
この種類の住宅を取得すると、住宅借入金等特別控除の枠が拡大され、さまざまなメリットが得られます。
一般的には、年間40万円までの税額控除が認められています。
しかし、長期優良住宅ではこの上限が50万円まで広がります。
つまり、年間において最大で10万円多くの税額控除を受けられるのです。
さらに、この差額は10年間のトータル控除期間で考えると最大で100万円にもなります。
つまり、長期優良住宅を選ぶことで、10年間で最大100万円の節税効果を享受することができるのです。
このように、長期優良住宅は税金面でも優遇されるため、多くの人々にとって魅力的な選択肢となっています。
住宅を取得する際には、長期優良住宅の選択肢も考慮し、節税効果を最大限に活用することが重要です。
住宅ローン金利の優遇
住宅ローン商品の中には、長期優良住宅として認定されると、特典があります。
例えば、「フラット35S」というローン商品では、長期優良住宅に認定されると、10年間にわたって金利が0.25%引き下げられます。
これは、通常よりも低い金利でローンを組むことができるということです。
そして、さらに長期優良住宅では、最長50年の返済期間を持つ「フラット50」というローン商品を利用することもできます。
この場合、将来的に住宅を売却する際に、買い手に対して現在の住宅ローンを引き継がせることができます。
つまり、長期優良住宅では、ローン金利の引き下げだけでなく、将来的な住宅売却時の手続きがスムーズに行えるというメリットがあります。
これによって、次の世代にも良質な住まいを引き継ぐことができるのです。
補助金制度
長期優良住宅の新築やリフォームを行う際には、さまざまな補助金が受けられる可能性があります。
例えば、「地域型住宅グリーン化事業」という制度では、国土交通省が採択した中小工務店に施工を依頼した場合に限り、最大で110万円までの補助金が支給されます。
また、「長期優良住宅化リフォーム推進事業」では、リフォームによって長期優良住宅が実現された場合に、200~250万円の補助金を受けることができます。
さらに、高度な省エネルギー型の要件を満たすことにより、追加で50万円の補助金を受けることも可能です。
なぜなら、長期優良住宅は性能が高く、一般の住宅よりも建築コストが高くなりがちであるため、補助金制度を積極的に利用することが重要です。
長期優良住宅認定の申請手続きと必要書類
長期間にわたって優れた性能を維持し、住まい手に快適な環境を提供するために、長期優良住宅として認定されることがあります。
この認定を受けるためには、いくつかの書類を用意し、それを提出するために自治体に申請する必要があります。
申請手続きの流れ
長期間にわたり高品質な住宅として認定されるための手続きである「長期優良住宅」の認定申請は、建築主や施工会社を通じて、建物が着工される前までに行われます。
まず、登録住宅性能評価機関による技術審査を受ける必要があります。
この審査では、長期優良住宅の基準を満たしているかどうかが判定されます。
基準を満たしている場合、適合証が交付されます。
その後、自治体に申請を行うために必要な書類を準備しましょう。
ただし、必要な書類は自治体によって異なる場合がありますので、事前に確認しておくことが大切です。
具体的な必要書類には、建築計画書や建築設計書、施工計画書、耐震計画書などがあります。
これらの書類は、建築主や施工会社が提出することになります。
自治体への申請後、審査が行われます。
審査内容や所要時間は自治体によって異なりますが、審査が完了すると、長期優良住宅の認定がおり、建物が着工されることができます。
長期優良住宅の認定申請は、建築主や施工会社の協力を得ながら行われ、登録住宅性能評価機関の審査と自治体への申請手続きが含まれます。
必要な書類については自治体によって異なるため、事前に確認することが重要です。
申請に必要な書類
長期優良住宅の認定申請をする際に必要な書類は、いくつかの種類にわたります。
具体的には、「認定申請書」という書類や、「設計内容説明書」という書類、「配置図」という書類、「各種図面」という書類、そして、「各種計算書」という書類などが挙げられます。
これらの書類には、専門的な知識が必要な場合もありますので、施工を担当する会社の方とはしっかりと事前に打ち合わせを行うことが重要です。
また、申請時には1万円から5万円程度の費用がかかることがありますので、書類だけでなく費用も一緒に確認しておくことがおすすめです。
認定後の手続き
前述のとおり、長期優良住宅は入居後も定期的に点検やメンテナンスを行って、良好な状態を維持する必要があります。
そのため、事前に維持保全計画を作成し、点検や修繕の記録を保存しなければなりません。
点検は最低でも10年に1度実施する必要があり、災害が発生した場合には追加で臨時の点検を行う必要もあります。
また、大規模なリフォームを行う場合には、改めて申請をしなければなりません。
適切な手続きを行わないと、長期優良住宅の認定が取り消される可能性もあるため、注意が必要です。
まとめ
認定長期優良住宅とは、ストック活用型社会を目指すために作られた制度です。
この制度では、さまざまな基準をクリアすることで認定されます。
具体的な基準としては、住宅の快適性、安全性、環境への配慮、そして可変性などが挙げられます。
認定がされると、様々な特典を受けることができます。
例えば、各種税制上の優遇措置や住宅ローン金利の優遇などがあります。
また、認定されると補助金も受け取ることができます。
なお、2022年からは認定基準や手続きの仕組みが変更される予定です。