少子高齢化が進む現代社会において、既存住宅の供給過剰や空き家問題が深刻化しています。
そのため、政府は中古住宅の流通市場の活性化を図り、中古マンションの購入を選択肢の一つとして推進しています。
ここでは、中古マンションの購入手続きや、注意すべきポイントについて詳しく解説します。
中古マンションの購入手続きと注意点
政府の中古住宅市場の拡大と品質確保の取り組みは、中古住宅の質の向上と市場規模の拡大を目指しています。
2021年3月に閣議決定された「住生活基本計画」では、2020年の市場規模である12兆円から2030年までに14兆円に成長することを目標として掲げています。
具体的な施策としては、既存住宅の情報公開を改善し、住宅瑕疵保険の充実などで既存住宅の購入時の安心感を高めることが挙げられます。
また、耐震性や省エネ性、バリアフリー性能の向上やリフォーム、建替えの推進なども行われています。
特にマンションでは、管理の適正化や長寿命化、再生の円滑化が進められる方針です。
これらの取り組みによって、中古住宅の質が向上し、品質を担保された中古マンションの流通が活性化することが期待されています。
中古マンションの選び方においては、資産価値を重視することが重要です。
そのためには、家族に合った住まいであることや、将来的な需要や地域の発展性を考慮する必要があります。
例えば、勤務先や学校へのアクセスが便利であることや、身近にスーパーや病院、クリーニング店などの生活施設があることは望ましい条件です。
また、周辺環境や治安の良さも重要な要素です。
さらに、マンションの管理状況や設備の充実度、大規模修繕積立金の状況なども確認することが必要です。
これらのポイントを踏まえて、資産価値の高い中古マンションを選ぶことができます。
中古マンションの購入は、将来の生活の基盤を築く重要な選択です。
しっかりと情報収集し、慎重に検討することで、理想のマンションを見つけることができるでしょう。
ライフスタイルによって必要な周辺環境は変わります
家族の属性や嗜好によって、必要な周辺環境は異なります。
例えば、子どものいる家族であれば、公園が近くにあることが重要です。
スポーツが好きな人であれば、フィットネスクラブの近くに住みたいと思うでしょう。
外出が多い人であれば、駅へのアクセスがしやすい場所に住みたいと考えるかもしれません。
これらのニーズはライフスタイルに応じて異なります。
立地条件は資産価値にも関わる
物件の立地条件は、その資産の価値にも大きく関わってきます。
例えば、最寄り駅から徒歩10分以内で都心部やターミナル駅にアクセスしやすい物件は、価格も安定し、値崩れしにくいでしょう。
人気のエリアであれば、将来的には物件の価値が上がる可能性もあります。
また、マンションが建つ地域は、用途地域として分類されています。
13種類の土地の利用目的が決められており、確認しておく必要があります。
マンションは住居系の用途地域だけでなく、商業地域や準工業地域にも建てられることがあります。
例えば、住宅が立ち並ぶエリアでも商業地域であれば、隣には遊戯施設などが建つ可能性がありますので、注意が必要です。
また、マンションが準工業地帯に建っていることもあります。
マンションの管理状態をチェックしましょう
物件を購入する際には、マンションの管理状態も重要なポイントです。
特に、長期修繕計画に基づいた適切な修繕が行われているかどうかを確認しておきたいところです。
これは物件の資産価値を維持するためにも重要です。
物件探しと並行して資金計画を立てましょう
中古マンションを購入する際には、物件の購入価格に加えて、諸経費として物件価格の6〜9%がかかります。
頭金や住宅ローンの借り入れ額などに応じて、資金計画を立てることが重要です。
頭金や諸経費を差し引いた上で、住宅ローンで借り入れる額を加えた金額が、購入できる物件の価格の目安となります。
ただし、住宅ローンの借り入れ額は家族の状況によって異なります。
住宅ローン控除
住宅ローン控除とは、中古物件を購入し10年間にわたり住宅ローンの残高の0.7%が所得税および住民税から控除される仕組みです。
ただし、特に注意するべき条件は建築年です。
1982年以降に建築された物件か、1981年以前でも耐震性が確保されている証明書類があれば適用されます。
また、登録免許税の軽減措置も同様の要件があります。
物件を決めたら不動産仲介会社で申し込みをし、売主と合意が取れたら金融機関に住宅ローンの事前審査を申し込みましょう。
競合相手がいる場合は事前に相談し、内諾を得ておくと交渉が有利に進められます。
子どもが産まれたり、学校に入学したり、車を買い替えたり、定年退職したりといったライフイベントに応じて、家計のキャッシュフローを把握し、無理のない資金計画を立てましょう。
マイホームを買うために住宅ローンを借りる場合、中古のマンションを選ぶと、特定の条件が揃えば住宅ローン控除を受けることができます。
中古物件の場合は、購入後10年間にわたって、毎年の住宅ローン残高の0.7%が所得税や住民税から控除されるという仕組みです。
住宅ローン控除の条件
住宅ローン控除にはいくつかの条件がありますが、特に注意が必要なのは建築年の条件です。
1982年1月1日以降に建てられた物件であり、新しい耐震基準に適合していることが求められます。
ただし、1981年以前の物件であっても、耐震性が確保されていることを証明する書類があれば適用されます。
登録免許税の軽減措置も、住宅ローン控除と似た条件を要します。
床面積が50m2以上、1982年以降に建てられたか、新しい耐震基準に適合している物件であることが要件となります。
また、不動産取得税も床面積が50m2以上240m2以下で、1982年以降に建てられたか、新しい耐震基準を満たす物件が軽減措置の対象となります。
ただし、控除額は建物が新築された日と自治体によって異なります。
購入を希望する物件を見て回り、決めたら不動産仲介会社で申し込みをします。
売主と合意ができたら、金融機関に住宅ローンの事前審査を申し込むことになります。
人気のある物件なら競合相手もいるかもしれませんので、事前に金融機関で中古マンションの購入について相談し、住宅ローンの内諾を得ておくと、交渉が有利に進められます。
まとめ
中古マンションを購入するとき、リノベーションを行うことを前提にする場合があります。
築年数の経過したマンションでも、内装や間取りを変更することで、自分のライフスタイルや好みに合った住まいにすることができます。
ただし、リノベーションをする場合は、マンションの管理規約や工事内容によって、管理組合への届け出や承認が必要なことが多いです。
例えば、フローリングの遮音性能に関して規定がある場合、カーペットからフローリングへの変更はできないこともあります。
購入前には、管理規約をしっかりと確認しましょう。
また、一般的なラーメン構造のマンションでは、間仕切り壁の撤去や間取りの変更が比較的容易ですが、低層マンションの壁式構造の場合、取り壊せない壁が存在する可能性もあります。
さらに、キッチンや浴室など水回りの位置を変更する場合は、床下に勾配を確保して排水管を配管するスペースが必要な条件があります。
中古マンションを購入する際は、リノベーションがしやすいかどうかも考慮に入れて検討しましょう。